日々の症例 89 皮膚の皺に由来する線状アーチファクト




89-170歳代、歳代、男性。臥位で撮影された胸部単純X線写真とCT

>画像所見 : 
胸部単純X線写真(臥位):右上肺から横隔膜下方に達する線状影がみられる。右下肺野に粗大な石灰化巣が2個。
CT:右肺および上腹部の線状影は臥位による背部皮膚の皺()に起因することが分かる。胸膜に粗大石灰化が2個。
>診断 : 皮膚の皺に由来する線状アーチファクト

>解説 : 
起き上がれない被験者を臥位のままで胸部単純X線撮影を行う場合、ベットと背中の間にカセッテを差し込まなければならない。このため、背部の皮膚に皺がよって、線状に描出されてしまうことがまれではない。こういった胸部単純写真読影上の基礎的知識がないため、気胸と誤診してトロッカーを挿入されてしまうことすらある。

89-2)80歳代、女性。座位で撮影された胸部単純X線写真

座位胸部単純X線写真 : 両側上肺野に一見気胸様の線状影がみられる(↓)。やや呼気位で再撮影を行い、気胸を否定した。
>診断 : 
皮膚の皺に由来する線状アーチファクト
>解説 : 
臥位や座位撮影では、高頻度に皮膚の皺が線状に描出されるので読影に注意する必要がある。昔は「気胸を疑った場合は呼気位での撮影を追加せよ!」と教わったものだが、撮影系の進歩によってその必要性は低下した。

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