日々の症例 88 多発性骨髄腫




8870歳代、女性。3年前に腰椎の病的骨折で発症。全身の骨痛と貧血がある。

>画像所見 : 頭蓋骨に硬化縁を伴わない小円形透亮像が多発している。椎体、骨盤骨、大腿骨など、全身の骨に著明な骨粗鬆症がみられる。
>診断 : 多発性骨髄腫(multiple myeloma)

>解説 : 
頭蓋骨の打ち抜き像(punched-out lesion)は多発性骨髄腫に特徴的だが、癌の骨転移やまれに痛風でもみられることがある。多発性骨髄腫は成人の造血系腫瘍の1015%を占め、高齢化が進めばさらに高頻度になると予想される。高齢者で骨粗鬆症や貧血、尿蛋白が高度な場合は本症を念頭におくことが重要。血清・尿中のM蛋白の増加や骨髄穿刺で異型形質細胞の増殖を確認することで診断が確定する。

               
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