日々の症例 66 サーベル鞘気管



 


66-1)40歳代、男性。喘息 

>画像所見 : 大動脈弓のレベルで気管の横径が小さく、いわゆる鞘状変形(saber sheath trachea)がみられる。CTでは気管軟骨の骨化も確認できる。
>診断 : サーベル鞘気管(saber sheath trachea)
>解説 : 気管の鞘状変形はCOPDや慢性気管支炎の患者にしばしばみられ、気管軟骨の骨化を伴うことも多い。正常変異とも考えられているが、縦隔腫瘤などによる圧排狭窄との鑑別を要する。成人男性に多い。慢性の咳などによる気管軟骨の損傷が気管変形に関与していると考えられている。


66-2)40歳代、男性。無症状

>画像所見 : 気管は甲状腺のレベルでは正常の形状だが、徐々に扁平化し、大動脈弓直上のレベルで横径12mm、前後径34mm(tracheal index 0.35)と最も細長く変形している。気管下端では再度正常径に復している。両側の主気管支も正常の形状である。
>診断 : サーベル鞘気管(saber sheath trachea)
>解説 : 診断の目安として、気管の横径と前後径の比(tracheal index)が提唱されている。このtracheal indexが0.5より小さければ本症と診断できる。気管内挿管や気管切開後などでみられる全周性気管狭窄と混同してはならない。

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