日々の症例 54 後縦靭帯骨化症                         





54-1) 70歳代、男性。頚部痛。

  

>画像所見 : CT矢状断像でで第23頚椎の椎体後面に沿った石灰化陰影がみられる。
MRIでは椎体後面から脊柱管に突出する低信号がみられる()
>診断 : 後縦靱帯骨化症(OPLL)
>解説 : 椎体後方に突出する骨棘と後縦靭帯骨化との鑑別が難しいこともあるが、本例のように椎間板のレベルだけではなく、椎体後面にも連続して石灰化(骨化)があれば鑑別は容易である。


54-2) 70歳代、男性。特に脊髄症状はない。


>画像所見 : 頚椎側面X-pで第23頚椎の椎体後面に沿った石灰化陰影がみられる()
MRIでは椎体後面から脊柱管に突出する低信号がみられる()。左黄色靱帯の肥厚も明か(※)で、左神経孔を軽度圧排している。
>診断 : 後縦靱帯骨化症(OPLL)、黄色靱帯肥厚〜骨化症(OYL)
>解説
 : 後縦靱帯骨化症(ossification of posterior longitudinal ligamentOPLL)は椎体後面の後縦靱帯に異所性骨化がみられる原因不明の疾患で、東洋人に多い(白人の約10倍)。椎体後面のみにみられる分節型、椎間にも連続する連続型、および両者の混合型に分類される。家族歴が強く影響し、DM の合併も多い。頚椎に好発する。靱帯の骨化自体はCTの方が鮮明に描出できるが、MRIでは硬膜嚢の圧排の程度や脊髄との関係が明瞭に把握できる。通常、脊柱管の前後径の40%以上を占めると脊柱管狭窄症状が出現する確率が高くなるとされている。黄色靱帯骨化症(ossification of yellow ligamentOYL)は下位胸椎から胸腰椎移行部に好発し両側性のことが多いが、本例のように片側性のこともある。

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