日々の症例 53 動注療法が奏効した重症急性膵炎



 


53) 30歳代、男性。大酒家で、飲酒後背部痛が出現。


>画像所見 : 来院時CT:膵は全体に腫大し、周囲脂肪層の混濁も明か。CT Grade Ⅲの重症急性膵炎である。緊急腹部血管造影:脾動脈から比較的太い背側膵動脈(DP)が分岐し、横行膵動脈(TP)へと連なっていることから、脾動脈に動注用カテーテルを留置した。動注開始から7日後のCT:膵腫大と周囲脂肪層の混濁は明らかに軽減しており、良好な治療効果が得られている。
>診断 : 動注療法が奏効した重症急性膵炎(Severe acute pancreatitis)
>解説 : 重症急性膵炎は致死率3050%の重篤な疾患として知られているが、蛋白分解酵素阻害剤と抗生剤の動注療法の有用性が報告されている。本例では脾動脈にカテーテルを留置し、蛋白分解酵素阻害薬の持続動注と抗生剤12回の動注を行った。腹痛は動注開始直後から劇的に緩和され、1週間後のCTでも膵炎所見の改善が認められた。

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