日々の症例 45 第一腰椎の破裂骨折                         





45-1) 50歳代、男性。 2.5mほどの高さからの転落外傷。

  

>画像所見 : 1椎体の圧迫変形と骨折が明らかで、両側椎弓にも骨折がみられる。椎体の後方への脱臼を伴い、脊柱管は狭小化している。MRIのT2強調像では脊髄に急性浮腫と思われる淡い高信号もみられる。
>診断 : 第1腰椎の破裂骨折・脱臼骨折 (L1 burst fracture and fracture dislocation)
>解説 : 通常の胸腰椎圧迫骨折は椎体前半部分に骨折が比較的限局し、経過と共に楔状椎、魚椎、扁平椎といった変形がみられるようになる。重度の外傷機転による圧迫骨折では椎体後半部分にも骨折がおよび、神経症状を伴うことがある。胸腰椎の安定性の評価にはDenisの3-column theoryが用いられることが多い。椎体の前2/3がanterior element、椎体の後1/3と後縦靱帯がmiddle element、これより後方がposterior elementで、2つ以上のelementに骨折が及べば不安定型骨折と診断する。本例は3-column全てに骨折が及んでおり、後方からの除圧+固定術が施行された。
文献:
1)Denis F.:The three column spine and its significance in the classification of acute thoracolumbar spinal injury.Spine 8:817-831,1983


45-2) 40歳代、男性。バイク事故で救急搬送された。両下肢不全麻痺あり。


 >画像所見 : L1椎体の圧迫変形と骨折が明らかで、左椎弓にも骨折がみられる。骨片は脊椎管内にも突出しており、脊髄を圧排している。MRIのT2脂肪抑制像(STIR)で椎体骨髄は高信号を示し、骨髄浮腫が示唆される。
>診断 : 第1腰椎の破裂骨折(L1 burst fracture)
>解説 : 翌々日に胸腰椎後側方固定+椎間腸骨移植術が施行された。術後経過は良好で、麻痺も消失し、退院となった。
<メモ>
椎体の圧迫骨折:
1)病的骨折の場合:MRIのT1 強調像で椎体全体が低信号。急性期の良性骨折でも骨髄浮腫を反映して低信号となるが、少しぐらいは脂肪髄が残っていることが多い。異常信号が椎弓にも及んでおれば悪性の可能性大。椎体後縁が弧状に突出。不均一に造影される。
2)良性骨折の場合:脂肪髄の残存。椎体内に線状の骨折線やガス像(intravertebral vacuum cleft がみられる。椎体後縁が角張って突出。

                                                     
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