日々の症例 44 腸回転異常 



 


44) 
20歳代、男性。無症状。


>画像所見 : 造影CTで上腸間膜動脈(SMA)と上腸間膜動脈(SMV)の位置が左右逆転している。消化管造影では、正常な十二指腸ループの形成はなく、小腸が腹腔内の右半を占めており、大腸は左半に偏在している。
>診断 : 腸回転異常 (non-rotation)
>解説 : 胎生期の原始腸係蹄はSMAを軸にして半時計方向に270度回転して正常な位置関係になる。この回転の異常によって臍ヘルニア、傍十二指腸ヘルニア、種々の程度の腸回転異常および腸管の固定異常が起こる。少なくとも、上腸間膜動静脈の位置関係に注目すればCTあるいはUSといった断層画像で non-rotation の診断は容易に行える。non-rotation は実際には最初の90度で回転が止まったもので、小腸が腹腔内の右半、大腸が左半に偏在し、終末回腸は右から左へ走行して盲腸に入る。Ladd靱帯で代表される異常な索状物がみられることはまれで、通常、無症状だが、腸捻転を合併することはある(既出症例36)。


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