日々の症例 43 乾癬性関節炎 



 


43) 60歳代、男性。 皮膚の乾癬症があり、両手指関節の疼痛と腫脹がみられる。

>画像所見 : 両手指の軟部腫脹が強い。 PIP、DIP関節を中心とした広範なerosionと関節腔の狭小化が明らかで、両手第4,5指基節骨には骨膜反応もみられる。特に、左第4指基節骨のびらん(mouse-ear erosion)と右第1,2指 DIP関節の破壊が進んでいる。
>診断 : 乾癬性関節炎(psoriatic arthritis)
>解説 : 乾癬症患者の数%に関節炎の合併がみられる。手足の小関節に好発するが、仙腸関節、脊椎、膝、股関節などの大きな関節を侵すこともある。炎症は関節にとどまらず腱鞘にも広範に波及するため、手指ではsausage digitと表現される軟部腫脹がみられ、骨幹に沿った骨膜反応も特徴的。皮膚あるいは爪の乾癬症が明らかで関節の疼痛と軟部腫脹、さらにDIP関節、PIP関節が侵されれば診断は容易であるが、20〜30%は関節炎が皮膚症状に先行、あるいは同時に出現する。(関節リウマチではDIP関節が侵されることは極めてまれ。軟部腫脹も関節周囲に限局し、骨膜反応もみられない!)


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