日々の症例 33 多発性骨髄腫




33-150歳代、男性。右側胸部痛。

>画像所見 : 頭蓋骨に硬化像を伴わない境界明瞭な小透亮像が多発している。胸部単純X-pでは右第3肋骨の膨隆と骨溶解像と共に、肋骨に沿って辺縁平滑な腫瘤影がみられる。腫瘤の立ち上がりはなだらかで、典型的な胸膜外徴候(extrapleural sign)を呈していることから、肺外病変と思われる。
>診断 : 多発性骨髄腫 multiple myeloma

>解説 : 
辺縁硬化像を伴わない比較的大きさの揃った打ち抜き像(punched-out lesion)は骨髄腫の典型的所見として知られている。また、多発性骨髄腫は本例のようにしばしば肋骨を侵し、骨破壊とともに軟部腫瘤を形成する。好発部位は椎体(65%)、肋骨(45%)、頭蓋骨(40%)、肩(40%)、骨盤骨(30%)、長管骨(25%)。椎弓ではなく椎体が侵される点がbone meta との鑑別点となる。骨髄病変が主体のため、骨シンチではuptalkeを認めないかむしろRIの取り込みが低下することも多い。高齢者の骨シンチでdefectがあればmultiple myelomaを疑う必要がある。本例はその後の検査で尿中にBence-Jones蛋白も検出された。

 33-280歳代、女性。腰背部痛。

>画像所見 : 前出の症例同様、右肺尖部で胸膜に接して半球状の小腫瘤がみられる。頭蓋骨の板間層内にもpunched-out lesionが多発している。
診断 : 多発性骨髄腫 multiple myeloma
解説 : 多発性骨髄腫の好発部位は、椎体、肋骨、頭蓋骨、骨盤骨などの造血が行われている赤色髄である。


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