日々の症例 29 粟状結核




29-170歳代、女性。1週間前から38度前後の発熱が持続するため来院した。

画像所見 : 両側全肺野に小粒状影がびまん性に存在し、中下肺野でより密に分布している。CTでは比較的大きさの揃った2mm前後の小結節が既存の肺構造と無関係に分布しているのが分かる。
>診断 : 
粟粒結核(miliary pulmonary tuberculosis)
>解説 : 
結核菌の血行性播種によって全肺野に粟粒のような小結核病巣がびまん性に分布するが、原発巣となる結核病変を確認できないことも多い。AIDSなどの免疫能の低下した患者に見られることも多く、早期診断と早期治療が重要である。通常、発熱や呼吸困難などの重篤な症状を呈する。鑑別すべき疾患として、転移性肺癌(特に、甲状腺癌からの肺転移)、珪肺、水痘肺炎サルコイドーシス、びまん性汎細気管支炎、Langerhans細胞組織球症、癌性リンパ管症などがあげられる。本例は喀痰から結核菌が確認された。
 29-280歳代、女性。全身倦怠感。


>画像所見 : 右上肺野に粗大石灰化。縦隔にも石灰化したリンパ節が散見され、陳旧性結核病巣と思われる。1ヶ月後の胸部単純X線像およびCTではびまん性に粟粒陰影が出現している。
>診断 : 粟粒結核(miliary pulmonary tuberculosis)

 29-3))70歳代、女性。1ヶ月前から発熱と息切れが出現し、増悪するため来院。

>画像所見 : 
Chest X-p : 全肺野に無数の小結節がみられる。気管の偏位はない。
CT : 小結節影の分布に規則性がなく、肺血管や気管支、胸膜にも接して存在している
(non-lobular distribution)。
>診断 : 粟粒結核(miliary pulmonary tuberculosis)
>解説 : 
粟瘤結核は結核菌の血行性散布によるため、小葉中心性分布を示さない。従って、病巣は胸膜や静脈にも接する。本例はChest X-pおよびChest CTから粟瘤結核を疑い、直ちに個室入院となった。PCR法では喀痰、胃液いずれも陽性で、胃液から結核菌を確認した。


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