日々の症例 25 線維性骨異形成症




 25-1) 80歳代、男性。70年前に頭部を打撲し、その後長年の経過で前頭部が突出してきた。

    

>画像所見 : 右前頭骨が膨隆し、顔面も変形している。CTの骨条件では濃厚な骨硬化像とすりガラス状の濃度域が混在しているのがわかる。MRIではT1T2共に不均一な低信号を示している。
>診断 : 線維性骨異形成症(fibrous dysplasia
>解説 : 骨髄腔が骨や軟骨を含んだ線維組織で占められる原因不明の骨形成異常で、30歳以下が75%を占める。骨発育の終わる思春期を過ぎると進行が止まることが多い。骨形成と線維形成の組み合わせで多彩なX線像を呈する。MRIでは T1,T2ともに low intensityが基本だが、様々な信号変化を示し、強い造影効果がみられる。単骨性(monostotic form70-80)と多骨性(polyostotic form20-30)に分けられるが、骨X線像は基本的に同一である。好発部位は大腿骨近位部、頭蓋骨、顎骨および肋骨で、X線所見は比較的境界明瞭なスリガラス様(ground glass appearance)と呼ばれる骨菲薄化, 骨透亮像が特徴的(骨融解型)。本例のように、頭蓋骨や顔面骨が侵される場合は骨肥厚と骨硬化像が主体となり、病変が広範囲におよぶと眼球突出、視力障害、顔面の高度変形(獅子様顔貌;Leontiasis ossea)をきたす(骨硬化型)。頭蓋骨では内板は侵されないことも鑑別疾患上重要。
 

25-2) 80歳代、女性。無症状。

>画像所見 : 左前頭骨から顔面骨の骨硬化と膨隆が強く、内部にはすりガラス状と表現できる疾患特異的な濃度上昇がみられる。頭蓋骨の内板は比較的良好に保たれているのも特徴的である。
>診断 : 線維性骨異形成症(fibrous dysplasia

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