日々の症例 219 左傍十二指腸ヘルニア




21960歳代、男性。腹痛、嘔吐で来院

>画像所見 : 膵と胃の間に小腸が入り込み、球状にみえる。冠状断像では腸管の締め付け像と腸間膜血管の収束像も確認できる(↑)。
>診断 : 左傍十二指腸ヘルニア
>解説 : 
左傍十二指腸ヘルニアは十二指腸空腸移行部の腹膜欠損部から小腸が後腹膜腔内に脱出する代表的な内ヘルニアである。膵と胃の間で一塊となった脱出腸管がみられ、腸間膜血管の伸展・集簇像もみられる。内ヘルニアでは本例のように腸管が嚢状にくるまれているようにみえることが多く、特徴的である(sac-like appearance)。

<内ヘルニアの分類>
1)傍十二指腸ヘルニア(内ヘルニアの半数以上を占める。右よりも左傍十二指腸が多い)
2)傍盲腸ヘルニア(10-15%)
3)腸間膜(小腸、S状結腸、横行結腸間膜)裂孔ヘルニア(8%)
4Winslow孔ヘルニア(6-10%)
5)子宮広間膜裂孔、直腸周囲裂孔、ダグラス窩裂孔ヘルニア(5%)
6)大網裂孔ヘルニア(14%)
7)ピーターセンヘルニア

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