日々の症例 196 胸膜外脂肪層の肥厚




19660歳代、男性。検診の胸部単純X線写真で異常を指摘された。

>画像所見 : 胸部単純X線写真では左中下肺外側に胸膜肥厚様の変化がみられる。CTでは皮下脂肪と同様の濃度であることが分かる。
>診断 : 胸膜外脂肪層の肥厚
>解説 : 
胸膜外脂肪は肥満や慢性の胸膜疾患などによって増加し、胸部単純X線像で胸膜肥厚と紛らわしいことがある。
 胸膜は内側から順に臓側胸膜、壁側胸膜、胸膜外脂肪層、胸内筋膜からなるが、高精度のCTであっても、これらが合わさってわずかな線状構造として確認できる程度である。胸水は臓側胸膜と壁側胸膜の間(胸膜腔)に貯留し、膿胸を合併すると、肥厚した壁側胸膜と臓側胸膜が分離して認められるようになる(split pleura)。肺炎などに続発する胸膜肥厚は臓側胸膜の肥厚が主体だが、炎症が壁側胸膜に波及すれば胸痛が出現する。胸膜プラークは壁側胸膜に生じる。限局性の胸膜中皮腫は最近では、胸膜孤立性線維性腫瘍(solitary fibrous tumor of the pleura)と呼ばれ、多くは葉間胸膜を含めた臓側胸膜から発生する。


                                                    
                                                     寺元記念病院 画像診断センターへ