症例 190 前頭縫合




190前頭縫合

190-1) 30歳代、女性。交通事故で頭部打撲。

>画像所見 : 頭部単純X線正面像で矢状縫合と人字縫合がギザギザとした線状影として正常に確認できる。さらに頭蓋正中を直線状に走行する線状影がみられ、CTで詳細に観察すると、これもギザガザとした縫合線であることが分かる(→)。
>診断 : 前頭縫合(persistent metopic suture

>解説 : 
左右の前頭骨をつなぐ前頭縫合は1歳以後に閉鎖し始め、通常、2歳までに確認できなくなる。しかしながら、約10%の頻度で前頭縫合が閉じずに終生残存する。直線状に走行するため、骨折線と間違われやすい。本例も「頭蓋骨骨折の疑い」で頭部CTの依頼を受けた。この他にも、骨折と間違われやすい縫合線としては、横静脈洞近くにみられる横走後頭縫合(mendosal suture)の遺残、および鼻骨前頭縫合(nasofrontal suture)が有名である。

 190-270歳代、男性。転倒で頭部打撲。

>画像所見 前頭部正中に線状影がみられる。骨条件で拡大して観察すればギザギザとした形状をしており、骨折線ではなく縫合線であることが分かる(↑)。
診断 : 前頭縫合

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