日々の症例 189 気管気管支




189-160歳代、男性。

>画像所見 : 胸部単純X線像で右鎖骨下に弧状のair像が確認できるが、単なる合成影として見逃してしまいそうである。CTでは気管右壁から分岐して樹枝状に広がる異常気管支であることが分かる。CT仮想内視鏡像でも気管から直接分岐する異常気管支が明らか。
>診断 : 気管気管支(tracheal bronchus

>解説 : 
上葉気管支(の一部)が気管から直接分岐するまれな先天奇形。多くは右肺に生じ、肋骨や椎体の奇形、肺静脈環流異常などを合併することもある。気管内挿管時には注意を要するので、「気管気管支が存在する」という術前情報は重要である。

  189-280歳代、女性。肺炎の疑いでCT施行

>画像所見 : 気管分岐部から12cm頭側の気管右壁から右上葉気管支(B1-2)が直接分岐している。胸部単純X線写真でも詳細に観察すれば、リンパ節の石灰化と重なって異常なガス像が疑える。
診断 : 気管気管支(tracheal bronchus
解説 : マルチスライスCTの普及によってtracheal bronchusなどの解剖学的変異が容易に発見できるようになった。肺炎や気管支拡張などの合併によって症状をきたすことが報告されているが、多くの場合無症状で、胸部CTの読影時に偶然発見される。

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