日々の症例 186 腸間膜静脈硬化症




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70歳代、女性。腹痛と下痢。数年前からイレウスを繰り返している。

>画像所見 : 腹部単純X線写真では腹部に点状〜線状の石灰化が多数みられる。USでは上行〜横行結腸の壁肥厚および壁内に高エコーが多数みられる。CTでは右半結腸の壁肥厚と壁内のびまん性に石灰化だけではなく、腸間膜静脈にも石灰化がみられる。注腸X線検査では上行〜横行結腸の伸展性は不良で、粘膜も粗造。拇指圧痕像もみられる。
>診断 : 腸間膜静脈硬化症

>解説 : 
腸間膜静脈の硬化によって還流障害をきたすまれな疾患。無症状のものから虚血性大腸炎を惹起するものまで様々。静脈壁の石灰化が特徴的で、右半結腸に好発する。
本例は、8年前からイレウスによる入退院歴が5回あるが、いずれも保存的治療で軽快している。今回、多量の腹水貯留が見られ、保存的療法にて症状が改善されず、腸間膜静脈硬化症の増悪によるイレウスと判断し、結腸亜全摘術が施行された。


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