日々の症例 183 一過性大腿骨頭萎縮症




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30歳代、男性。右股関節痛。

>画像所見 : 右大腿骨頭から頚部にかけてT1 強調像で境界不鮮明な淡い低信号、T2 強調像で淡い高信号、T2 脂肪抑制像で著明な高信号を示す領域が拡がっており、骨髄浮腫が示唆される。関節裂隙の狭小化はない。
>診断 : 
一過性大腿骨頭萎縮症(transient osteoporosis of the hip
>解説 : 
骨髄の浮腫性変化を確認する画像診断としてはMRIの脂肪抑制像が最も鋭敏である。骨頭壊死や骨折、感染、骨腫瘍などに伴う骨髄浮腫との鑑別を要するが、本症は徐々に痛みが出現し、数ヶ月以内に自然寛解する良性疾患である。発症に何らかの虚血の関与が示唆されているが、正確な原因は不明。当初、妊娠後期の女性に好発する考えられていたが、むしろ青壮年男性に多い。
 本例は、1年前には左大腿骨に一過性大腿骨頭萎縮を認めたが、現在は異常信号は消失している。今回新たに右大腿骨頭に病変が出現した。


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