日々の症例 182 アルコール性脂肪肝(禁酒後の経過)



18250歳代、男性。大酒家。

>画像所見 : 禁酒前の単純CTでは重度の脂肪肝で肝実質と血管の濃度が逆転している。肝腫大もみられる。禁酒4ヶ月後ではいずれも改善している。禁酒前後のUSはいずれも肝内部エコーは細かく、エコーレベルも上昇していることから、脂肪肝の診断は可能だが、脂肪化の程度・重症度については言及できない。
>診断 : 
アルコール性脂肪肝(禁酒後の経過)
>解説 : 
アルコール性脂肪肝は禁酒によって、比較的短期間で改善する。脂肪肝の超音波所見としては、 ①肝腫大や肝縁の鈍化、 ②肝エコーレベルの上昇(肝腎コントラスト、bright liver)、 ③肝深部エコーの減衰(deep attenuation)、 ④肝内脈管の不明瞭化(blurring)があげられているが、アルコール性脂肪肝では③④はみられないことが多い。脂肪肝の診断にUSは極めて鋭敏だが、重症度判定は意外と難しい。そもそも、超音波診断装置を開発するエンジニアは脂肪肝でみられる超音波所見②③④はいずれも「許しがたいアーチファクト」と考えている節がある。


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