日々の症例 18 精管の石灰化             




18) 60歳代、男性。糖尿病性腎症 透析歴12

  


>画像所見 : 小骨盤腔内に左右ほぼ対称性に管状の石灰化がみられ、鼠径部に向かって走行している。CTでは精嚢の後上方で精管の走行に一致した石灰化であることが明らか。
>診断 : 精管の石灰化(calcification in the vas deference
>解説 : 精管の石灰化は糖尿病患者の異所性石灰化としてよく知られており、病的意義は乏しい。まれに高カルシウム血症や加齢による変化としてみられることもある。左右対称性の管状の石灰化としてみられるので診断は容易である。
<メモ>
精管の走行:
精巣上体下端から起こった精管は精巣後縁に沿って上行し、精巣動静脈および神経と共に精索(spermatic cord)を形成して陰嚢から出る。その後、鼠経管を経由して腹腔内に入るが、腹腔内で再び血管、神経と分かれて下内側に向かい、膀胱後方で精管膨大部を形成する。精管膨大部の下端は細くなって精嚢の排出管と合流して射精管となり、前立腺を貫通して尿道前立腺部の精丘に開く。精管の石灰化はどういう訳か精管膨大部に好発する。

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