日々の症例 176 副腎腺腫




176副腎腺腫

176-1) 副腎腺腫、女性。CTで偶然に副腎腫瘍を指摘された。

>画像所見 : 左副腎に約23cm大の腫瘤がみられる。単純CTでは肝・脾より低濃度。MRIグラディエントエコー法のin-phase像に比べて、out-of-phase像では明らかに信号の低下があり、細胞内脂肪が豊富な腫瘤と考えられる。胆嚢頚部に15mm大の石灰化胆石あり。
>診断 : 副腎腺腫(adrenocortical adenoma

>解説 : 
副腎腺腫の大半が細胞内に脂肪を含有しており、脂肪成分を証明できれば悪性副腎腫瘍を否定する根拠となる。脂肪成分が多ければ、CTでもdensityが低下し、CT値が10以下ならまず良性腫瘍と考えてよいとされている。さらに確実にミクロレベルの脂肪成分を検出するためには、本例のようにMRIin-phase像とout-of- phase像を対比するのが最も鋭敏である。

 176-270歳代、男性。右副腎偶発腫

>画像所見 (単純CT : 右副腎に3cm大の腫瘤がみられる。MRIグラディエントエコー法のin-phaseからout-of-phase像で信号の低下が明らかで、細胞内レベルでのmicroscopicな脂肪成分を有する腫瘤であることが分かる。
診断:副腎腺腫
解説:副腎腫瘍ではmicroscopicmacroscopicを問わず、脂肪成分があれば悪性腫瘍はまず否定できるので、脂肪成分を確認する画像診断が重要。副腎骨髄脂肪腫(myelolipoma)でみられるよ うな塊状の脂肪成分の確認には通常の脂肪抑制画像が有用だが、、細胞内レベルでの脂肪成分の確認にはグラディエントエコー法のin-phaseout-of-phaseの比較が決め手となる。

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