日々の症例 174 腹部大動脈破裂




17460歳代、男性。腹部拍動性腫瘤と貧血。

>画像所見 : infrarenal AAA で、動脈瘤の最大径は9cmもある。壁在血栓内に不整形の淡い高濃度域がみられる(High-attenuating crescent sign)。瘤の周囲から後腹膜腔にも出血を示唆する高濃度のfluid collectionが拡がっている。
>診断 : 腹部大動脈瘤破裂

>解説 : 腹部大動脈瘤は腎下部腹部大動脈瘤(infrarenal AAA)と旁腎部腹部大動脈瘤(pararenal AAA)に分類されるが、90%以上がinfrarenal AAAである。CTでの瘤径の計測は最大短径で行う(最大長径ではない!)。腹部大動脈瘤破裂は背部に放散する腹痛で始まることが多いが、本例のように症状が乏しく、比較的緩徐に進行することもある。

<腹部大動脈瘤破裂のhigh risk
1)瘤の大きさが6cm以上
2)瘤の辺縁に凹凸がある
3)隔壁形成(仮性瘤の可能性)
4)瘤辺縁の不鮮明さ(出血の可能性)、血腫の存在
5)経過観察の過程での瘤の増大(6カ月で0.5cm以上の径拡大)
6High-attenuating crescent sign(壁在血栓あるいは動脈瘤壁内の急性出血)

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