症例 165 珪肺




165珪肺

165-170歳代、男性。労作時の息切れ。

>画像所見 : 上肺野に優位な間質影の増強がみられ、両側肺門部には卵殻状の石灰化が多発している。
>診断 : 珪肺(silicosis

>解説 : 塵肺の胸部X線像は小陰影と大陰影に大別される。珪肺では上肺野に優位な小粒状影を呈することが多いが、肺門・縦隔リンパ節の石灰化が主体であることもまれではない。特に、遊離珪酸の含有率の少ない粉塵の長期吸入例ではリンパ節に石灰沈着をきたしやすいとされている。本例のような卵殻状のリンパ節石灰化は珪肺症に特徴的で、頻度は低いがサルコイドーシスが鑑別にあげられる。珪肺患者は結核菌に侵されやすく、しかも難治である(silicotuberculosis)。肺癌の合併にも注意を要する。

165-270歳代、男性。石材業。喀痰が多い。

>画像所見 : 左肺がやや暗く、胸郭も左が小さめ。両側上肺野優位でびまん性に小粒状影が分布している。
診断 : 珪肺
解説珪肺は長年の珪酸粉塵の吸入によって生じる塵肺症の一つで、線維増殖性変化から、進行すると小結節影がびまん性に出現する。上肺野に変化が強い。一方、石綿肺(asbestosis)は下葉に変化が強く、胸膜の石灰化が主体。肺門リンパ節の卵殻状石灰化(egg-shell calcification)は珪肺症に特徴的だが、本例ではみられなかった。

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