症例 163 肺動静脈瘻




163肺動静脈瘻

163-150歳代、女性。無症状。

>画像所見 : 左中肺野に太い屈曲蛇行した血管影がみられる。CTでは流入動脈と流出静脈が各1本の単純な肺動静脈瘻であることが分かる。
>診断 : 肺動静脈瘻(pulmonary arteriovenous fistula

>解説 : 
肺動静脈瘻の1/3は多発性で、シャントが重度なものではチアノーゼ、ばち指、息切れなどの症状がみられる。肺というフィルターを介さずに動脈血が静脈系に短絡するため、脳膿瘍や脳塞栓症などを来しやすいとされている。本例は単発性であり、全身の多発性血管腫や毛細血管拡張などもみられないことから、Rendu-Osler-Weber病は否定的。

<メモ>
動静脈瘻(AVFarteriovenous fistula)は毛細血管を介さずに動脈と静脈が直接交通している血管異常。先天性のことが多いが、外傷などによっても生じ得る。流入動静脈が各1本のsimple 型とそれぞれ複数の動静脈を持つcomplex型がある。
動静脈奇形(AVMarteriovenous malformation)nidusと称される異常毛細血管を介して動脈と静脈が短絡する先天的な血管異常。通常、複数の流入動静脈が存在する。

163-250歳代、女性。胸部単純写真で異常を指摘された。

>画像所見 : 
Chest X-p:左肋横角近くに芋虫状の異常影がみられ、肺門部に向かって比較的太い血管影が2本連なっていることから、肺動静脈瘻が示唆される。
造影CT動脈相と3D再構成像:流入する肺動脈と流出する肺静脈が各1本、明瞭に描出されている。
診断 : 肺動静脈瘻(pulmonary arteriovenous fistula

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