症例 162 脊椎血管腫




162脊椎血管腫

162-180歳代、男性。椎間板ヘルニアの経過。

>画像所見 : 2腰椎の椎体内にT1WIT2WI共に高信号を示す境界明瞭な病変がみられる。内部には微小低信号を伴っている。脂肪抑制像(STIR)で信号は低下しており、脂肪成分を含有していると考えられる。L5はやや前方に辷っている。L4に陳旧性圧迫骨折。
>診断 : 脊椎血管腫(vertebral hemangioma

>解説 : 
脊椎血管腫は真の腫瘍ではなく、拡張した血管腔からなる二次性変化と考えられており、MRIでしばしば経験する。下部胸椎〜腰椎に好発する。内部に脂肪を含有し、T2強調像だけではなく、T1強調像でも高信号を示すことが多い。脂肪抑制像で信号が低下すれば診断はさらに確実である。病変内部に粗大な骨梁が目立ち(コールテン状;corduroy cloth appearance)、横断像では点状(polka dot sign)にみえるのも疾患特異的。大半は無症状だが、疼痛を伴う場合には放射線治療が有効。

 162-240歳代、男性。椎間板ヘルニアの疑い。

>画像所見 (単純CT: 1腰椎の椎体内にT1WIで不均一低信号、T2WIで高信号を示す境界明瞭な病変がみられる。内部には縦長の点状〜線状の低信号もみられ、CTでは粗大な骨梁構造として確認できる
診断 : 脊椎血管腫(vertebral hemangioma
解説 : 骨原発の血管腫は脊椎骨と頭蓋骨、肋骨などに好発する。組織学的には海面状血管腫が多いが、脊椎の血管腫の大半は真の腫瘍ではなく、拡張した血管腔からなる奇形腫的性格の病変と考えられている。

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