日々の症例 142 脳梁の病変




142-150歳代、男性。脳梗塞疑いでMRI施行

>画像所見 : 
MRI : 横断像では側脳室後角の拡大と体部の左右離開が明らかで、その間に34cm大の脂肪腫を伴っている。正中矢状断ではT1強調像で明瞭な高信号に描出されるはずの脳梁が全くみられない。帯状回もみられず、各脳回は脂肪腫に向かって放射状に配列している。
>診断 : 脂肪腫を伴った脳梁欠損症(agenesis of the corpus callosum

>解説 : 
脳梁は左右の大脳半球を連結する最大の線維路であり、これが欠損すると側脳室体部は左右に離開し、第3脳室は挙上する。単独でみられるときは無症状のことが多いが、他の脳奇形に伴ってみられることもある。本例のような脂肪腫をしばしば合併する。逆に、脳梁脂肪腫では50%近い確率で脳梁形成異常がみられるとされている。

142-280歳代、女性。。めまいのスクリーニング

>画像所見 : 側脳室が左右開離している。MRI T1強調で脳梁体部の一部が確認できる(↓)が、膝部と膨大部は確認できない。
>診断 : 脳梁低形成
>解説 : 
側脳室体部が左右に離れていることに気付くことが脳梁形成異常の診断のきっかけになることが多い。

142-370歳代、女性。転倒で頭部打撲。無症状

>画像所見 : 脳梁膨大部に沿ってT1強調像で高信号がみられ、CTでも脂肪のdensityが明らか(→)。脳梁はほぼ正常に確認できる。透明中隔腔とヴェルガ腔が開存している(*)。
>診断 : 
脂肪腫(pericallosal lipoma)、透明中隔腔とヴェルガ腔
>解説 : 
脳梁周囲は脂肪腫の好発部位であり、脳梁形成異常を伴うことも多い。


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