症例 137 腹膜石、腹膜ねずみ




137-160歳代、男性。便秘症。

>画像所見 : 
注腸X線検査:下行結腸のすぐ外側に1cm大の丸い石灰化がみられる。体位変換や圧迫法でもこの石灰化巣は結腸と共に移動する。
CT:下行結腸に接して1cm大の石灰化がみられる。
>診断 : S/O 腹膜石(calcification of epiploic appendage

>解説 : 
鑑別疾患としては、 リンパ節の石灰化と憩室内バリウムが挙げられるが、石灰化が単発であること、および以前にバリウム検査の既往がないことから、腹膜垂の石灰化がもっとも考えられる。
 腹膜垂とは結腸自由ひもと大網ひもに沿ってみられる奬膜に包まれた脂肪組織で、成人では3cm近い大きさになり、約100個あるとされている。画像診断で正常の腹膜垂を同定することは困難だが、炎症や石灰化をきたせば同定できるようになる。石灰化した腹膜垂が腹腔内に脱落したものは腹腔内遊離体あるいは腹膜鼠などと称されるが、病的意義は乏しい。

 137-270歳代、男性。無症状

>画像所見  : 直腸前方に石灰化を伴う長径2cm大の楕円形腫瘤が見られる。石灰化は腫瘤の辺縁部を中心に存在し、内部は腸間膜脂肪よりわずかに高濃度の脂肪成分と考えられる。造影効果はない。この脂肪性腫瘤は1年前のCTでは前腹壁直下、1年半前にはS状結腸近傍に存在しており、腹腔内を動いていることが分かる。
診断:腹膜ねずみ

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