日々の症例 136 左顎下腺内唾石と顎下腺炎




13630歳代、男性。食後の左顎下部疼痛と腫張

>画像所見 :  
US:右顎下腺はほぼ正常で、均一な高エコーレベルに描出されている(※)。一方、左顎下腺は腫大し、内部エコーも不均一に低下している。腺内に唾石と思われる音響陰影を伴う高エコーも明らか()
単純CT : 左顎下腺内に石灰化結石がみられるが、単純CTでは炎症の有無は不明。
>診断 :  左顎下腺内唾石と顎下腺炎(sialolithiasis and sialoadenitis

>解説 :  唾石の約90%は粘液腺が主体である顎下腺に生じる。本例は1か月前から食後の顎下部腫脹と疼痛を自覚し、食事をみるだけで疼痛発作が出現するようになったため来院した。唾液腺の腫大と不均一なエコーレベルの低下は、唾石に伴う逆行性感染を示唆しており、左顎下腺摘出術が施行された。通常、唾石の画像診断はUSだけで十分だが、音響陰影がはっきりしない場合はCTで確認してもよい。



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