日々の症例 125 肝損傷




 


125-1) 50歳代、女性。交通事故から4時間近く経過して急激に右上腹部痛が出現。

>画像所見 : 肝右葉の中心性破裂(Ib)および肝被膜下への造影剤の漏出が明らか。単純CTでも肝損傷部位に淡いhigh densityがみられ、新鮮な血腫が示唆される。突発する右上腹部痛は、肝被膜下出血によって急速に肝被膜が伸展されたことによるものと考えられる。この時点では腹腔内出血はないが、血管造影でも肝動脈からのextravasationが確認された(↑)ため、TAEを行った。
>診断 : 肝損傷( liver injury )
>解説 : 
自転車走行中に車に追突され近医を受診。一旦帰宅したが、4時間近く経過してから急激に右上腹部痛が出現してきたため、救急搬入された。造影CTで高度の肝被膜下出血と中心性破裂を確認し、緊急血管造影にて肝動脈塞栓術を施行した。その後経皮的に血腫部のドレナージを行い、1カ月半後に退院となった。 腹部鈍的外傷による実質臓器損傷は碑損傷に次いで肝損傷が多く、日本外傷学会の臓器損傷分類が広く用いられている。
<肝損傷分類>
I型:被膜下損傷
    Ia.被膜下血腫   
     Ib.実質内血腫(中心性破裂)
II型:表在性損傷
III型:深在性損傷
     IIIa.単純深在性損傷  
     IIIb.複雑深在性損傷

125-2) 30歳代、女性。交通事故によるハンドル外傷。

>画像所見 : 外傷直後のUSでは肝S2にわずかに低エコー領域が疑える。単純CTでも淡いLDAがみられる。6時間後のUSと造影CTでは肝損傷がさらに明瞭になっている。
>診断 : 肝損傷(Ib
>解説 : 
一般的に、軽微な実質臓器損傷はUSや単純CTでは診断できないことも多く、造影CTが必要である。時間的余裕がなければ単純CTは省略してもよい。もちろん、腹部の重症外傷では心タンポナーデ、腹腔内出血、血胸の有無を迅速に確認するための外傷時特定部位超音波検査(FAST)が必須であることはいうまでない。

                                  寺元記念病院画像診断センターへ