日々の症例 124 トルンヴァルト嚢胞




 


124-1) 60歳代、男性。
頭部スクリーニングでMRI施行

>画像所見 : 上咽頭正中の後上壁に長径1cm強の腫瘤がみられる(→)。T1強調像で筋よりやや高信号、T2強調像とDWIで著明な高信号。
>診断 : トルンヴァルト嚢胞
>解説 : Tornwaldt cystは上咽頭嚢胞の一種で、胎生期の脊索残遺による先天性嚢胞である。通常は無症状だが、感染を伴うと、悪臭を伴った持続性排膿,耳管閉塞、咽頭痛などを生じ、Tornwaldt disease と呼ばれる。頭部MRIで偶然見つかることが多くなった。

124-2) 50歳代、女性。頭痛の精査

>画像所見 : 咽頭正中の後上壁に長径1cm強の腫瘤がみられる。T1T2DWI、いずれでも高信号。
>診断 : トルンヴァルト嚢胞
>解説 : 豊富なタンパク成分や出血を反映して、MRIT1強調とDiffusion像で中〜高信号、CTで高濃度を示せば疾患特異的である。


                                  寺元記念病院画像診断センターへ