日々の症例 119 異物による腸閉塞




 


119-1) 60歳代、女性。
腹痛と嘔気で来院。

>画像所見 : CTUSいずれでも肝内胆道気腫が明らか。小腸内腔は腸液で拡張し、CTでは小腸閉塞の原因と思われる2cm強のリング状石灰化異物、USでは音響陰影を伴う胆石様のストロングエコーがみられる(↓)。胆嚢は不明瞭であった。
>診断 : 胆石イレウス
>解説 : 
胆石イレウスのtrias:①胆道内ガス、 ②(経日的に変化する)小腸イレウス、 ③腸管内の結石像。 発症機序:胆石胆嚢炎の炎症が十二指腸に波及して胆嚢十二指腸瘻が形成され、この瘻孔を経由して胆石が小腸内に落下するとともに、消化管ガスが胆管内に入る。落下胆石は管径の細い回腸末端に嵌頓して小腸イレウスを引き起こす。  35mm以下なら自然排石が期待できるとされるが、本例も翌日には結石は下行結腸に移動しており、その後便と共に排泄された。

119-2) 60歳代、女性。心窩部痛と嘔気で来院。

>画像所見 : 小腸内腔は腸液で拡張しており、小腸イレウスである。拡張した小腸先端に一致してCTでは気泡を含有する4cm大の腫瘤像、USでは音響陰影を伴う胆石様のストロングエコーがみられる。
>診断 : 食餌性イレウス
>解説 : 
イレウス管を挿入し、保存的に経過観察をおこなったが腸閉塞は改善せず、第10病日に小腸内異物除去および小腸部分切除が施行された。結石の嵌頓部位の小腸粘膜は壊死に陥り、結石の成分分析から柿胃石の嵌頓と最終診断された。
 食餌性イレウスの原因としては、小腸内に流出した胃石が最も多く、次いで餅、種子類(梅干しの種など)、海草類、椎茸、こんにゃくなどの報告が多い。


                                  寺元記念病院画像診断センターへ