日々の症例 111 硬膜下血腫



 


111-1) 20歳代、女性。自殺企図。蘇生直後の単純CT

>画像所見 : 大脳鎌の右側には CSF space water density として確認できるのに対して、左側では逆に薄い高吸収域が拡がっている。現時点では、点状出血や脳浮腫といった脳挫傷を示唆する所見はみられない。
>診断 : 急性硬膜下血腫 (acute subdural hematoma)
>解説 : スカーフで首吊りを企図し、救急搬入された。蘇生直後の単純CTで大脳鎌に沿った硬膜下血腫が明らか。この後、徐々に血圧が低下し12時間後に死亡した。経過のCTがないため血腫の推移については不明だが、一般的に急性硬膜下血腫の予後は不良である。
 
111-2) 70歳代、女性。めまいを主訴に来院した。

>診断 : 硬膜下血腫
>解説 : 脳鎌右側に沿ってみられるhigh densityは脳溝内には入っていないので、くも膜下出血ではなく、硬膜下出血と診断できる。大脳鎌や小脳テントに沿った少量の出血は見落としやすいので注意して読影する必要がある。


                                                  寺元記念病院画像診断センターへ