日々の症例 109 胆管癌合併総胆管拡張症  



 


109) 80歳代、女性。閉塞性黄疸


>画像所見 : 
PTCD:総胆管は嚢腫状に拡張し、中部CBDで高度の狭窄がみられる(A)。1cm径、6cm長のメタリックステントを挿入し、tube freeで退院した(B)。
5カ月後の造影CT:ステント周囲に腫瘤が明らかだが、ステント内腔へのtumor ingrowth はみられない(C)。
>診断 : 胆管癌合併総胆管拡張症(choledocal cyst with CBD cancer )
>解説 : 
先天性総胆管拡張症の分類としては、Alonso-LejのⅠ〜Ⅲ型分類が広く用いられている。Ⅰ型は総胆管が嚢腫状に拡張したもので本症の大半を占める。Ⅱ型は憩室様拡張、Ⅲ型は十二指腸壁内に限局した総胆管の嚢腫状拡張。Ⅲ型を除いてほぼ全例で膵管胆管合流異常がみられ、胆管癌発生の素因と考えられている。超音波をはじめとした画像診断の進歩で幼児期に診断されることも多く、放置すれば高率に胆管癌を合併するため、できるだけ早い時期に嚢腫切除および肝管・空腸吻合術が推奨される。  本例は高齢でもあり、メタリックステントによる内瘻化を行った。16カ月後の死亡直前まで黄疸のコントロールは良好であった。



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