日々の症例 108 脊椎分離症




108-1) 20歳代、女性。軽い腰痛症

 

>画像所見 : 
腰椎両斜位単純X線像 : 斜位像でL5の椎弓部分(いわゆるスコッチテリアの首)の断裂がみられ(→)、両側性の脊椎分離症である。腰椎のalignmentは整で、すべり症の合併はない。
>診断 : 
脊椎分離症(spondylolysis)
解説 : 
脊椎分離症は下部腰椎に好発し、特に第5腰椎に多い。約3/4は両側性である。10代〜20代のスポーツ愛好家に多く、脊椎すべり症を合併することも多い。一種の疲労骨折と考えられている。ちなみに、右前斜位でみられるスコッチテリアの首の部分は左椎弓、目玉は左椎弓根である。逆に、左前斜位でみられるのは右椎間孔、右椎弓および右椎弓根である。

108-2) 70歳代、男性。腰痛症

>画像所見 : 
腰椎側面単純X線像:L4は約20%前方に辷っている。椎弓の分離症も明らか(↓)。脊柱管の狭窄はない。
>診断 : 脊椎分離すべり症(spondylolytic spondylolisthesis) 
解説 : 
脊椎分離すべり症では分離した後方成分は移動せず取り残されるので、脊柱管狭窄はきたさない。むしろ脊柱管の前後径は増大し、棘突起は後方に突出していることも多い。一方、椎間板の変性/菲薄化によって脊椎を支持する靱帯が緩むことで生じる変性すべり症では脊柱管狭窄をきたしやすい。すべりの程度は下位椎体上面を4等分したうちのどの部分まで滑っているかのよってgradeⅠ〜Ⅳに分類するか、%で表示する。


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