日々の症例 105 遊走腎





105) 80歳代、女性。背部不快感。USで水腎症を指摘された。

>画像所見 : 点滴静注尿路造影(DIP)。点滴開始15分後の臥位と立位のX線像。臥位から立位に体位変換することで、右腎は約9cm、左腎は約11cm下方に移動している。腎の長径も小さくなっており、腎の短軸回転(転倒)も加わっていることが分かる。
>診断 : 遊走腎(movable kidney)
>解説 : 腎は呼吸や体位によって移動するが、生理的範囲(5cm)を越えて移動する場合には、側背部鈍痛や血尿などの原因になり得る。痩身の女性に多い。膀胱が尿で緊満している場合や本例のような遊走腎では、腎盂に尿が停滞し、軽い水腎症のようにみえることがある。



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