日々の症例 102 胃腫瘍





102-1) 60歳代、男性。上腹部痛。

>画像所見 : 
UGI : 腹臥位充満像で胃体下部大弯を中心に10cm以上の範囲で脳回状のfilling defectがみられる。進行胃癌にみられるような硬さはなく、胃壁の進展性も比較的保たれている。
CT : 胃内腔に突出する腫瘤が明らか。
>診断 : 胃悪性リンパ腫
>解説 : 消化管悪性リンパ腫の統一された肉眼分類はないが 1)動脈瘤型 2)狭窄型 3)ポリープ型 4)潰瘍型の4型に分けるWood分類 1)表在型 2)潰瘍型 3)隆起型 4)決壊型 5)巨大皺襞型の5型に分ける佐野分類 1)潰瘍型 2)びまん浸潤型 3)腫瘤形成型の3型に分ける中村分類が広く用いられている。本例は、それぞれ動脈瘤型、巨大皺襞型、腫瘤形成型に相当する。

102-2) 60歳代、男性。上腹部痛。

画像所見:
UGI:立位充満像と背臥位二重造影で胃の形が変わらず、いわゆる革袋状である。非常に硬いことがわかる。粘膜面も粗造。
US:胃壁は全周性に肥厚しており、層構造は確認できない。
診断:4型進行胃癌
解説:前出の胃悪性リンパ腫と異なり、胃壁の硬化が重度で、いわゆるスキルス胃癌である。
 スキルス胃癌とは、肉眼分類や癌の組織型を示すのではなく、病理組織学的に重度の線維増生を伴い、肉眼的に硬さを感じさせる胃癌の総称である。4型進行胃癌が多いが、3型でもスキルスになり得る。逆に、まれではあるが4型胃癌でもスキルスではない(髄様癌)こともある。


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