日々の症例 101 くも膜嚢胞




101-1) 40歳代、男性。無症状。


>画像所見 : 左中頭蓋窩からシルビウス裂にかけて脳脊髄液と同じ信号強度のcystic lesionがみられる。隣接する脳実質との境界は明瞭かつ直線状で、脳回にも異常信号はないことから、脳実質外の嚢胞性病変といえる。
>診断 : くも膜嚢胞(arachinoid cyst)
>解説 : くも膜嚢胞の約半数は本例のようにシルビウス裂内から中頭蓋窩に発生する。しかも、左側に多い。くも膜下腔との交通はあることも(secondary)、ないことも(primary)ある。頭囲拡大や痙攣発作などで発症し、乳幼児期に発見されることもあるが、CTMRIの普及によって偶然発見されることが多い。


101-2) 30歳代、男性。頭重感。

>画像所見 :  左前頭部でsubdural fluid collection様のwater densityが見られるが、同部に骨の菲薄化がみられる(↑)。
>診断 : くも膜嚢胞(arachinoid cyst)
>解説 : 
本例のように、頭蓋骨の変化(膨隆や菲薄化など)がくも膜嚢胞では高率にみられる。
くも膜嚢胞と脳実質との境界は明瞭かつ直線的で、嚢胞を囲む脳表に灰白質が正常に存在していることを確認することが重要である。


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