日々の症例 10 サルコイドーシス





10-1) 20歳代、女性。検診で胸部異常陰影を指摘された。

   

>画像所見 : 両側肺門部に境界明瞭なリンパ節腫大(Bilateral Hilar LymphadenopathyBHL)がみられ、断層撮影(もはや胸部X線断層撮影は過去の古典的検査法となった)でさらに明瞭に確認できる。肺野には明らかな結節影はみられない。
>診断 : サルコイドーシス
サルコイドーシスは非乾酪性肉芽腫の形成を特徴とする原因不明の多臓器疾患で、若年成人に好発する。自然寛解することが多いが、画像所見や症状が増悪する場合、あるいは心臓・眼・中枢神経病変を有する症例ではステロイド薬の投与が必要である。
両側肺門リンパ節腫大をきたす代表的疾患としては、結核を含む炎症性リンパ節腫大、悪性リンパ腫、リンパ節転移、サルコイドーシス、珪肺などが挙げられる。本例は、元気な若年女性であり、検診で偶然に両側肺門リンパ節腫大(BHL)を指摘されたことからもサルコイドーシスが最も疑われる。鼠経部リンパ節生検でも壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫が確認された。
 サルコイドーシスの肺野病変の基本はリンパ流路、いわゆる広義間質(肺動静脈、小葉間隔壁、胸膜)に沿った小結節である。縱隔リンパ節腫大がみられる場合はほぼ例外なくは肺門リンパ節腫大を伴っている。
stage 1 : 肺野病変を伴わないリンパ節腫大
stage 2 : 肺野病変とリンパ節腫大が同時にみられる。
stage 3 : リンパ節腫大は消失し、肺野病変のみ。
stage 4 : 肺の線維化、上肺野の volume loss と線維化。
<メモ>
X線断層写真 : 任意の深さの断層面に焦点を絞り、それ以外の領域をぼかして撮影する古典的撮影法。CTMRIといった断層画像診断装置の出現によって歴史的撮影法となった。


10-2) 20歳代、女性。検診で胸部異常陰影を指摘された。 

>画像所見 : 両側肺門部にBHLあり。
>診断 : サルコイドーシス
>解説 : 本例は検診の胸部単純X線像でサルコイドーシスを疑い、眼科的にも特徴的なぶどう膜炎があり、
サルコイドーシスと診断された。

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